売買による所有権移転登記
売買による所有権移転登記(個人間売買・親族間売買)
不動産を売買したり、あるいは贈与した場合、後日のもめごとを避けるためにも、
通常、不動産の登記名義の書き換えの手続(所有権移転登記)をします。
ハウスメーカーや不動産仲介会社をとおして購入する場合
マイホームを購入する場合、ハウスメーカーや不動産仲介会社をとおして購入する場合が多いでしょう。
その場合はそのハウスメーカーや不動産仲介会社が、登記手続きの部分も段取りしてくれるのが通常です。(少なくとも、登記手続の必要性を示唆してくれます)
あるいは、住宅ローンを組む場合は、金融機関が段取りしてくれることもあるでしょう。
個人間売買・親族間売買の場合
しかし、例えば、不動産仲介会社を通さずに売買したり(一般に個人間売買などと呼ばれます)、親族間で売買したりした場合は、登記手続きについて面倒を見てくれる人がいないかもしれません。
かといって、登記手続きをせずにおくのは望ましくありません。
(登記手続きをしないでおいた場合の問題点はこちら)
個人間売買・親族間売買等による所有権移転登記は、当事務所にお任せください。
必要であれば、売買契約書の作成もさせていただきます。
ただし、当事務所は不動産仲介を業するものではなく、また当職は宅地建物取引主任者ではありませんので、あくまでも両当事者の合意内容を書面化するだけであり、契約内容に関して当事務所が責任を負うことがない点を、ご了承ください。
手続きの流れについては、事案ごとに異なりますので、ご相談ください。
税務上の注意点
売買代金の額について、税務上の問題で注意する必要があります。
売買代金の額が、その不動産の時価(市場価格)と比較して著しく低い金額であった場合、時価と売買代金額の差額を、買主が売主から贈与を受けたものみなして、その差額に対応する贈与税が課税される可能性があります。(参考:国税庁のホームページ)
個人間売買や親族間売買の場合、売買代金の額について、一般的な市場価格を考慮せずに、または意図的に、低額に設定することがあります。しかし、税務上、後日、問題になる可能性をはらんでいます。
特に、親族間ではより厳格に判断されるようです。
売買代金の額については、税理士さんと相談したり、もしくは、直接税務署でその金額を設定した根拠について確認するなどしておく方が、安心です。
登記手続きをしないでおいた場合の問題点
売買によって所有権を取得したにもかかわらず、所有権移転登記をせずに置いた場合、
後日、その不動産に対する自己の所有権を失う可能性があります。
民法177条
不動産に関する物権の得喪及び変更は,不動産登記法その他の登記に関する法律の
定めるところに従いその登記をしなければ,第三者に対抗することができない.
つまり、不動産の所有権(物件)を取得した場合、登記しなければ、第三者に、自己にその所有権があることを主張できない(対抗できない)ということです。
第三者に対抗できない、とは、裁判で争ったら負ける、ということです。
(「第三者」の定義は少々難しいので、ここでは省略します)
例えば、
①A所有のある土地をBが買いました。所有権はAからBに移転しました。 ②しかし、所有権移転登記をせずに1年が経過しました。 ③1年後、Aは登記名義がAであることを利用して、Cにその土地を売りました。 ④Cは、Aの協力のもと、C名義への所有権移転登記をしました。
この場合、原則、Cが確定的に所有権を取得し、Bは確定的に所有権を取得できないことになるのです。先にBが買ったにもかかわらずです。(例外がないわけではないのですが、ここでは省略します)
Bは、所有権を取得したが、登記をしなかったために、第三者Cに対抗できず、結果、Bは確定的に所有権を取得できないことになります。
上記はAに悪意があるケースですが、Aに悪意がなくてもBが所有権を失う場合があります。
①A所有のある土地を、Bが買いました。所有権はAからBに移転しました。 ②しかし、所有権移転登記をせずに1年が経過しました。 ③1年後、Aの借金が膨らみ、返済できず、債権者がA名義のままのその土地を差押しました。 ④その後、その土地の競売手続きが進行し、Dが競落しました。 ⑤D名義に所有権移転登記がなされました。
この場合も、Dが確定的に所有権を取得し、Bは確定的に所有権を取得できないことになります。
トラブルを避けるためにも、しっかり登記手続きを行いましょう。
a:3709 t:1 y:0