相続の登記
相続登記--思い立ったら相続登記
相続は、どなたにも必ず起こるものです。
不動産の所有者がお亡くなりになれば、その所有権は相続人に
相続されます。
これにともない、不動産の登記名義の書き換えをするのが、
相続登記です。
- 相続登記の手続の流れは、こちら
⇒相続登記の手続きの流れ
- 誰が相続人(法定相続人)になるのか、その概略はこちら
⇒法定相続人の基礎知識
- 必要な書類についてはこちら
⇒相続登記手続きに必要な書類
- 複雑になってしまった相続登記について
⇒相続人に相続が発生したら
- 相続財産にマイナスの財産(借金)が多い場合はこちら
⇒相続放棄・限定承認・単純承認
ところで、「思い立ったら相続登記」とはどういうこと?
司法書士業務に長く携わっておりますと時々出会うのですが、
登記名義が、依頼人の “おじいさん” のままになっていることがあります。
相続登記をせずに、そのままになっているのです。
相続登記をするのは義務ではありません。しかし・・・
ほおっておくと大変なことに・・・
こういう場合、相続開始後滞りなく相続登記を行うケースと比較して、次のような不都合が生じ得ます。
- 登記手続きを行うまでに時間がかかる。
(戸籍の取り集めが大変) - 相続人の数が増え、話(遺産分割協議)がまとまりにくくなる。
- 費用が高くなる。
まず、相続人を確定させるために戸籍等の取り集めをしなければならないのですが、
登記名義が、依頼人の“おじいさん”のままになっている場合、おじいさんの相続人(お父さんの世代)にも相続が発生しているため、
- おじいさんの相続に必要な戸籍
- お父さんの世代の各兄弟姉妹の相続に必要な戸籍
- 依頼人の世代の各兄弟姉妹の必要な戸籍
と、三世代にわたる戸籍等を集めなければなりません。
時間がかかりますし、不足なく集めるのは容易ではありません。
中には、役所の保存期間の問題で廃棄処分になっているものも出てくるでしょう。
(戸籍の保存期間は、除籍になってから150年です。ただし、数年前までは保存
期間80年でした。中には、もっと保存期間の短い書類もあります)
なんとか戸籍等がそろっても、法定相続人が20人くらい存在したりすると、今度は相続人間での話をまとめる(遺産分割協議)のが大変になってきます。
中にはほとんど付き合いのない人もいるかもしれません。
また、行方不明になっている人や、高齢で意思表示ができない人がいるかもしれません。
そうすると、手続きはどんどん複雑・煩雑になっていき、手続きが複雑・煩雑になると時間もかかりますし、費用も高くなっていくでしょう。
こうなってしまうと、なかなか大変です。
- 複雑になってしまった相続登記について、詳細はこちら
⇒相続人に相続が発生したら
不動産の処分ができない
しかし、不動産の名義が “おじいさん” のままでは、例えば、その不動産を売却することはできません。
不動産を売却する際には、売主は買主のために登記名義の切り替え(所有権移転登記)を行います。
そのとき、まず相続登記をして、現在の所有者の名義に書き換えてからでないと、買主への所有権移転登記ができません。いざ相続登記をしようとしても簡単にはいかず、場合によっては、相続登記ができていなかったことが原因で売却ができないケースもあるのです。
また、かといって、更にそのままほおっておくと、依頼人の子供さんの世代ではさらに大変なことになるでしょう。
「思い立ったら相続登記」なのです。
⇒相続登記の手続きの流れへ
補足
- 戸籍が保存期間経過で廃棄処分されている場合
通常、それだけが理由で相続登記手続きが不可能になるわけではありません。しかし、戸籍がないことを補う書類が別途必要ですので、手間と費用に影響してきます。
- 行方不明の相続人がいる場合
遺産分割協議は、法定相続人全員で行わなければなりません。一人でも欠けると、遺産分割協議は無効です。 行方不明の相続人がいる場合は、家庭裁判所で「不在者の財産管理人」を選任してもらい、その財産管理人が行方不明者に代わって遺産分割協議を行う、ということになります。 なお、この場合、どのような内容の遺産分割協議を行うか、家庭裁判所の許可を得る必要があります。
- 意思表示ができない相続人がいる場合
その相続人自身で遺産分割協議を行うことはできません。 家庭裁判所で、その相続人の成年後見人を選任してもらい、成年後見人を交えて遺産分割協議を行うことになります。 なお、遺産分割協議の内容については、家庭裁判所と協議しながら進める必要があります。(成年被後見人たる相続人の法定相続分を侵害するような内容の遺産分割協議は問題ありです。)
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