債務整理について
遺産整理業務とは(預金も株式も投資信託も)
相続に関する手続きにおいて、相続人の方々がしなければならないのは登記名義の変更だけではありません。預金の解約や株式・投資信託の名義変更など、遺産の全てに関して手続きを行わなければなりません。
そこで、相続人全員から委任を受け、司法書士が相続人全員の代理人となって、相続手続き全般を行うのが遺産整理業務です。
相続人の方々は、最初に面談させていただいて委任状をいただき、その後遺産分割協議書への調印をしていただければ、あとは基本的に全て司法書士が手続きをしますので、その完了をお待ちいただくだけです。
以下のような希望をお持ちの方からご依頼をいただいております。
① 面倒な相続手続きを全て任せたい、という方
② 相続人間で後でもめないように、第三者の専門家に公正に手続
してほしい、という方
1.遺産整理業務の内容
具体的には、下記のような手続きを行います。
1.不動産の名義変更(相続登記)
2.銀行預金、出資金等の解約、名義変更
3.株式、投資信託などの名義変更、解約、売却
4.生命保険金・給付金の請求
5.前提となる遺産分割協議書の作成、各相続人への連絡・調整
2.流れ
手続きの流れは、下記のとおりです。
1.法定相続人の調査・特定(戸籍謄本等の取得)
2.相続財産の存否、所在、現況、権利関係調査(全遺産の把握)
3.財産目録作成(→相続税申告義務の有無を確認、必要に応じて税理士の紹介)
4.遺産分割協議書の作成
5.遺産分割にもとづく財産の移転手続き
・預貯金の相続手続き(解約、名義変更)
・株式・投資信託等の相続手続き(名義変更、解約、売却)
・不動産の相続手続き(相続登記)
・動産類の相続手続き(引渡し) など
(なお、現金化した金銭は、一旦、司法書士の業務専用口座に集約します)
6.遺産を分配し、遺産整理業務の完了報告
3.自己破産
裁判所に申し立てて行う手続です。
原則、現在ある債務のすべてについて、その返済を免除されます。
そのかわり、最低限の生活用品などを除いた全ての財産を失います。
(全債権者に、その債権額に応じて公平に弁済します)
マイホームやマイカーは、手放さなければなりません。
4.個人再生
裁判所に申し立てて行う手続です。
自己破産との大きな違いは、
①原則、債務の5分の1(最低100万円)を、3年の分割払いで返済する。
②マイホームを維持し得る。
③継続的な収入の見込みがなければならない。
①の「債務の5分の1」は、「住宅ローン債務を除いた債務の5分の1」です。
マイホームを維持できる代わりに、住宅ローンはそのまま返済し、他の債務を圧縮して3年で返済、です。
返済は結構大変ですので、③継続的な収入の見込みがなければなりません。
引き直し計算
全ての債務整理手続きにおいて、その前提となる作業です。

かつての消費者金融の貸付利率は、30%前後の高利でした。
その利率が「利息制限法所定の上限の利率だったとしたら、今の債務残高はいくらか?」と想定して計算することを、「引き直し計算」と呼んでいます。
例えば、利息年30%で100万円を借りていて、現在の債務残高(元金)が70万円であるとします。
利息制限法の上限金利は15%ですので、「もし当初の利率が15%で、これまでと同じように毎月返済していたなら、現在の債務残高(元金)いくらになるのか?」と計算します。
月々の返済額にもよりますが、かなり残高が下がるのは間違いありません。
引き直し計算をして算出された債務額をもとに、どの手続きを取るかを決定します。
過払金
引き直し計算をした結果、債務額がゼロで、むしろ利息を払いすぎている場合もあります。
その払いすぎている利息が「過払金」で、その場合は、過払金の返還請求を行います。
過払金があれば、それを別の債権者への返済に充てることができるので、債務整理が非常にやりやすくなります。
場合によっては、債務整理の結果、債務ゼロで過払い金の返還〇〇万円、ということもあり得ます。
かつての高利の時代に借入し、完済した方は、かなりの確率で「過払金」が発生しています。
この場合は、債務整理をするわけではありませんが、当然、返還請求できる金銭です。
それを返還請求するのは、悪いことではありません。
もちろん、返還請求しなければならないわけではありません。
なお、過払金は、10年で消滅時効にかかり、消滅します。
最後に返済した日から10年、という解釈ですが、もし、返還請求をお考えであれば、お早めにご検討ください
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